1993年2月8日〜2月19日

西岡良弘展





月あかりを浴びた玄界灘をぬけて衣千山に小次郎窯を訪ねた。

 時を経た山河が深く沈み滲み出る渋い華やぎが艶をそえる。

西岡良弘氏のやきものには泰然とした唐津の風土が色濃く宿っている。

 古きを写して現在を活きる氏の作品ではあるが

瓢として磊落なその“間”見逃す訳にはいかない。

 花を挿して、茶を喫して、料理を盛りつけて初めて完結する用の美。

 遠い昔に窯を築いた名もなき陶工たちは

小さな灯のゆらめきの中で、何を語らっていただろうか―


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 1993年9月27日〜10月8日


高村光太郎書展
 




高村光太郎の書には、光太郎の人生そのものが深く彫みこまれている。


―遥か田園をわたる風のように

―研ぎ澄まされた冷気のように

―天地をつらぬく大樹のように

―象のようにどこかあどけなく

―トパァズ色の香気がただよい

―ブランデンブルグが鳴り響く


そんな光太郎の書がたまらなく好きです。

光太郎さん ちょっと誉めすぎでしょうか。


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 1993年11月9日〜11月19日


夏目有彦漆芸展
 




吾は器なり

食を盛られて喜ぶなり

何の因果か平成の世に

夏目何某なる

人物の手によりて

このたび産ぶ声をあげし者なり

くるもの拒まず

丈夫で健康

先祖代々長命の家系なり

そして

評判の器量よし