1999年4月12日〜4月20日

西岡良弘展






古来より、唐津焼きは渋い作風のものが多いが、

良弘氏の「唐津」は取り分けて燻銀のような味わいを秘めている。

一見すると地味な氏の作品だが、花を入れ、茶を喫し、食を盛ると

一瞬にして華やぎへと化す。

焼物の妙とでも言うのだろうか。

この趣は、唐津焼の伝統をしっかりと踏まえていなければ現わせない魅力だ。

3年ぶりとなる当画廊での個展「良弘唐津の妙」

御高覧を頂き度く御案内申し上げます。


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 1999年9月18日〜9月29日


井上有一展
 




1971年9月、寒川町立旭小学校々長に任命された井上有一は、

拝命して帰宅後「抱腹絶倒」を何枚も書き、その後、日課として

「地蔵歎偈」七字十二行を書きつづけました。

この修業的作業にどのような意味があったでしょう。

六道輪廻の因縁に生きる人間に救いの手を伸べるお地蔵さんを

有一が理想像としたことは、地蔵図五十体(1965年)の銀地作品に

ひそかに自画像を入れたことにも察せられます。

だがなんで校長になった年秋「南無地蔵願王尊」を唱えたのか。

そのシリーズの大半46枚を一挙公開します。

御来駕賜り御誦鑑下さいますよう、御案内申し上げます。



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 1999年10月13日〜10月29日


藝術家の書展 夭折の文人展
 




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 1999年11月9日〜11月16日


夏目有彦 漆芸展
 




大ぶりな木椀が目の前にあります。

だいぶ前に夏目さんからいただいたものです。


飯も喰い、味噌汁も汲み、ある時には蕎麦がきが出来るといった、

上部な椀です。

百年ももちそうな頼りになるものを夏目さんは造る人です。

松田正平(画家)


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 1999年11月25日〜12月11日


松田正平 書展
 




10年ほど前になるだろうか

松田先生より一通の書簡をいただいた。

巻紙に書かれた墨色うつくしい文字は、あたかも一幅の白描画のように思えた。

先生の書に触れていると

「ぽっと 心に燈火が 灯るような想いがする」

そしてー静かな気持ちになる

「あなたの好きなようになさい」

これは先生の口癖である。

今回の初めての書展でもそう話された。

大変に有り難い言葉だが、反面とてつもなく重い。

先生の書に理屈や書論はいらない。

70年間、描き続けてきた画業が一切だ。