2011年1月25日〜2月4日


西岡良弘展XII
 





初雪ちらつく朝、凌雲窯を訪ねた。

吐く息白く西岡氏は日課とする庭掃除の最中。

工房から登り窯に至るまで塵ひとつ無い。

凛とした空気が隅々まで漂う。

良弘市の静謐な作品は、この場所から生まれるのだと伺う度に実感する。

十二回目になる今展。

干支で数えるなら一巡りの一区切り。

・・・という訳で、

今回はあえてテーマを定めず、多岐にわたる良弘唐津を展覧させていただきたい。



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 2011年3月22日〜3月31日


田中敏雄展
 

田中敏雄さんは今年、八十四歳になる。

視力がだいぶ不自由になったと話すが、制作については感覚や触角に

依ることが多くなったと屈託なく微笑む。


鰮の哀しみを綴った金子みすゞの「大漁」が好きで、

散歩は夕焼けに染まる富士山を眺めるため。

電球一灯の居間には、庭で摘んだ野草を一輪入れ、

食事は相変わらず戦前からのものしか口にしないという。


このような作家がいるから、個展を企画するのは実にたのしい。


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 2011年5月17日〜5月27日


松田正平展 VIII
 



正平さんが亡くなって早七年が経つ。

ギャラリーには、正平さんの笑う自画像がいつも掛けてある。

ボールペンのみで描かれたこの小さな絵を見るたびに

「しまりのない顔じゃのぅ…我ながら情けなくなる、ファッハッハッハァ」

と、自画像よりも情けない顔で笑っておられた正平さんを懐かしく思い出す。


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 2011年6月28日〜7月7日


井上有一展


 

「どうせ同じ人生を送るなら笑って暮らせる方がいい」


明るい無邪気な笑顔は、小学校の教論を長年勤めた影響だろうか。

法華経と宮沢賢治に傾倒した井上有一ならではの画賛である。


『イツモシズカニワラッテイル』

これを理想の境地とした賢治は享年三十九歳。

「日々絶筆」書に命を燃やし続けた有一は六十九歳でその生涯を閉じた。


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 2011年9月7日〜9月15日


古谷和也展





古谷さんの器にふれると元気をもらうことがある。

伝統的なものを踏まえつつも、作家の実直、前向きな姿勢には、

ロック魂すら感じるからだ。

若き作家のエネルギーにあふれる世界、お楽しみいただきたくご案内申し上げます。



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 2011年10月4日〜10月14日


李朝 民画と工芸展





李朝ものには、おかしみやペーソスを覚える作品が多い。

それに加え、時代特有の大らかさに触れていると

日向ぼっこをしているような気分になる。

秋めく一日、古の李王朝文化をお楽しみになりませんか。


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 2011年11月1日〜11月16日


吉左衞門とあそぼう展





当代・吉左衞門の焼貫茶碗は、点てにくい、喫みにくい、拭きにくい。

取り合わせにくい!にくい!にくい!

そんなこと当代は重々承知している。

それでもこの茶碗を使いたいと言う人のために創っているのだ。

手前も工夫すればどうにでもなること。

茶の湯とはそういうことではないのか。

時代を超える茶碗の魅力とは何だろう。

にくい吉左衞門氏の作品を主にし、思うままにとり合わせて展覧してみたい。

深まりゆく秋の一日、御来駕いただければ幸甚の至りである。



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 2011年12月6日〜12月14日


三原研 掌中の
?





古来より、人は「わん」を手づくり、供え、用い、遊んできた。

次々と斬新な造形を生み出し続ける三原研が今回挑むのは「?」


三原研によるたなごころの炉器をおたのしみください。