2020年2月4日〜14日

西岡良弘 展 XX









新作を両の掌に包んだとき、強く引込まれた。

稜線のように織り成された造形。

水のように澄みわたる釉景。

変わらぬ矜持と、それゆえ変化を続ける作品。

実に二十回目となる今展。

西岡氏の「現在」、御高覧頂ければ幸いです。




(光)



撮影:キッチンミノル


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2020年3月24日〜4月3日

海田曲巷 展

「五次元の茶杓展」







曲巷さんとは長い御縁になります。

風貌や行いから、傍目には日々、竹と戯れ茶の湯を楽しみ、

行雲流水の如く過ごしている風流人かのように見えます。

しかし、実際はと云うと・・・

ほぼほぼ傍目と同じようです。


枯淡な煤竹を求め日本各地へ。

趣きに富む削りと洒脱な銘、共筒に添う美麗な古裂の仕覆。

竹一片に、ここまで拘るのかと思われる方も多いことでしょう。

されど、茶杓は心の宝剣。

愛好者は自身の心境と重ね、

自画像の如く茶杓に惹かれるようです。

現代の茶杓の先駆者、茶杓師・海田曲巷氏の

当ギャラリーでの初展覧会。

春麗かな折、お出掛けいただければ幸いです。



出品茶杓銘

浮舟・不矢花・明窓浄机・くるるの音・徒有

梁塵・中今・花盗人・鄙そだち・馬の骨

落葉払事勿・不屈・風立ちぬ・天の邪鬼・舞 など




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2020年7月7日〜17日

松田正平 展 XIV








正平さんが亡くなり十六年。

笑顔の自画像は相変わらず可笑しくも、

思い出は寂しさと共に甦る。



山口県宇部市の正平さんの御自宅を訪ねると

お好みの珈琲豆ピーベリーで先ずは一服。

その後、使い込んだソファーに腰掛けた正平さんは

身体をかがめ、床に置いてあるおおきな硯で墨を擦る。

追えるとベニヤ板を膝上に置き、和紙をのせ

試し書きの横線を数本。

このような手順から文字を書く姿を幾度と無く拝見してきたが、

一画、一画、一点の筆運びに、

これ見よがしなところは一切無かった。

正平さんの「書」は、静かな呼吸をするようだった。



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 2020年10月21日〜30日

田中敏雄 展 X







秋めく日、田中敏雄氏を訪ねました。

長い間温めてきた作品がようやく仕上がったと

語る氏の笑顔に誘われるまま、

久し振りにいつものお部屋にあがりました。



振り返れば未知のウイルスを慮る月日は

すでに十か月に及んでいます。

その間、三種の鉄鉈と槍鉋を手に黙々と制作を続け、

酷暑中も手を休めることなく

御家族は相当心配されたとのことです。



無から有を生み出す旺盛な探究心。

変わることなく好奇心あふれる九十三歳の御仁は、

はにかんで「創作に終わりはありませんね。

続けることが生きがいです。」と。


直後に、本個展の開催を決めました。



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2020年12月15日〜22日

田嶋健太郎 展









「悲しみに寄り添い、その先にある幸せを表現したい」

と語る田嶋氏。

描かれた微笑みから、

この言葉へ向かう想いの深さを感じる。

敬虔な祈りのような氏の仕事。


今年制作された10点を

御高覧頂きたくご案内申し上げます。



(光)